AppSheet Automationに新機能 – リンク設定の使い方

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AppSheetは、こちらにあるように2022年7月14日(米国太平洋標準時)にAutomationの仕様を変更し、あらたにリンク設定が追加されました。
従来、Automationの構成要素のうち、Event(イベント)、Process(プロセス)、Task(タスク)、Action(アクション)は複数のBot(ボット)で常に再利用可能でしたが、リンク設定によりアプリ作成者が要素の再利用性(再利用するか、しないか)を選択できるようになりました。
このブログ記事では、リンク設定の概要と使い方、Automation設定の変更点について解説します。
この機能により、Automationの設定手順が少し簡略化されるので、単純なワークフローなら従来よりも簡単に設定できるようになりました。

【お知らせ】
2022年10月以降、AppSheetエディタの画面が新しく変更されています。
AppSheetのアップデートが速すぎて(汗)、このブログ記事はまだ新エディタの画面には対応していません。
エディタ画面右上にある「Switch to the legacy editor」というアイコンをクリックすると、新エディタと旧エディタの切り替えができます。
記事のアップデートができるまでは、とりあえず、旧エディタに切り替えて解説を読んでください。

Switch to the legacy editor」で旧エディタに切り替える。

リンク設定で要素の再利用を選択できる

AppSheet Automationでは、一度作成した要素(Event、Process、Task、Action)を単一のBot内で使用するだけでなく、複数のBotで再利用できるため効率的なアプリ開発ができます。

今回追加されたリンク設定は、アプリ作成者が要素の再利用性(他のBotで再利用するか、しないか)を選択できる機能です。

  • Linking OFF(リンクオフ):Automationの要素(Event、Process、Task、Action)は単一のBot内でのみ使用される(デフォルト)
  • Linking ON(リンクオン):Automationの要素は複数のBotで再利用できる

要素の設定パネルに、リンクアイコンが表示されるようになりました。
このアイコンをクリックします。

リンクアイコンが表示される。

リンク設定パネルが開いて、リンク設定ができるようになります。
以下は、リンクオフの状態です。
この要素(請求書トリガ)は、単一のBot内でのみ利用されています。

リンクオフ(Linking OFF)の状態では、要素は再利用できない。

トグルスイッチをチェックしてONにすると、リンク設定が有効(リンクオン)になります。
リンクオンの状態では、複数のBotでこの要素を再利用できるようになります。
現時点で、この要素が利用されているBotの名前(請求書PDF発行)も表示されます。

リンクオン(Linking ON)の状態だと、要素は再利用できる。

リンク設定についてまとめると以下のようになります。

リンク設定 再利用性 メリット
オフ(Linking OFF) 単一のBot内でのみ利用できる
  • 設定手順が簡略化でき、業務フローに沿って簡単にAutomationを設定できる。
  • 再利用中の要素の変更や削除の影響を受けないため、Automationを安全に使用できる。
オン(Linking ON) 複数のBotで再利用できる
  • 要素をモジュール化し、再利用することで開発生産性が向上する。

リンク設定の使い方

リンク設定は、Bot内で設定する場合と、タブメニューから設定する場合があります。
通常はBotを作成後、Bot内で要素を追加していくので、はじめにBot内での設定について解説します。

Bot内でのリンク設定

Botに要素を追加すると、エディタ画面右側に「Settings」が現れて要素の設定ができます。

この「Settings」にリンクアイコンが表示されるので、クリックします。

Bot内では「Settings」にリンクアイコンが表示される。

リンク設定パネルが開きます。
Bot内で要素を追加する場合、リンク設定はデフォルトで無効(リンクオフ)の状態です。

リンクオフ(Linking OFF)の状態では、要素は再利用できない。

トグルスイッチをチェックしてリンク設定を有効にすると、リンクオンになります。
この時、Botの名前(請求書PDF発行)も表示されます。

リンクオン(Linking ON)の状態だと、要素は再利用できる。

リンクオンの状態でリンク設定パネルを閉じると、リンクアイコンのマークが変わり、利用されているBotの数が表示されます。

リンクオンの状態だとリンクアイコンのマークが変わり、利用されているBotの数が表示される。

Actionの場合、従来と異なる点があるので補足解説します。

Stepの種類で「Run a data action」を選択すると、Actionが要素として追加されます。
エディタ右側の「Settings」にあるリンクアイコンがリンクオフの状態であることを確認します。

Stepの種類でActionを選択する。

従来、StepとしてActionを追加すると、「Behavior」メニューの「Action」タブ内に追加したActionが作成されて表示されました。
現在の仕様では、リンクオフの状態のActionは「Action」タブ内には表示されないようになりました。

リンクオフの状態では、Actionが表示されない。

では、さきほどのActionのリンク設定を変更して、リンクオンにしてみます。
すると、「Settings」内に「Action name」というフィールドが出現し、Actionの名前が表示されます。
Action名はAppSheetが自動的に付けた名前です。

リンクオンにすると、Action nameが表示される。

リンクオンの状態にすると、「Behavior」メニューの「Action」タブ内に追加したAction(請求書パス保存ステップ Action - 1)が表示されるようになります。
このActionは再利用可能な状態にあることが分かります。

リンクオンにすると、Actionが表示される。

タブメニュー内でのリンク設定

続いてタブメニュー内でのリンク設定の方法です。
例として、Eventのリンク設定をやってみましょう。

エディタ左側メニュー「Automation」をクリック、「Events」タブに移動して「請求書トリガ」イベントの設定パネルを開いてみましょう。

タブメニューでリンク設定する。

リンク設定アイコンが表示されるので、クリックします。

設定パネルにリンクアイコンが表示される。

リンク設定パネルが開きます。

リンクオフ(Linking OFF)の状態では、要素は再利用できない。

トグルスイッチをチェックして有効にすると、リンクオンになります。
利用されているBotの名前(請求書PDF発行)も表示されます。

リンクオン(Linking ON)の状態だと、要素は再利用できる。

リンクオンの状態で設定パネルを閉じると、リンクアイコンと利用されているBotの数が表示されます。

リンクオンの状態だとリンクアイコンのマークが変わり、利用されているBotの数が表示される。

再利用可能な要素の削除に注意する

リンクオン状態で再利用可能な要素の場合、編集したり削除する際に注意が必要です。

例えば、設定パネルで「Delete」をクリックします。

再利用中の要素を削除する。

再利用可能(リンクオン)な要素の場合、以下のような確認ダイアローグが表示されます。
要素を削除したり、集して更新したりすると、再利用しているBotに影響が生じます。
要素を削除する前に、再利用しているBotから要素を外すようにしましょう。

再利用中の要素を削除すると他のBotにも影響が出るので注意する。

Automation設定の変更点

リンク設定が追加されたことで、Automationの設定に若干の変更があるので、追記します。
今回の変更で気づいた点は、以下の通りです。

要素 変更点 変更内容
Event なし
Process あり
  • Bot内でProcessの名前を付けられない。
  • Processの存在を意識することなくStepを追加するだけで設定ができるようになった。
Task なし
Action あり
  • リンクオフ(デフォルト)状態では、「Behavior」>「Actions」にActionが表示されない。
  • リンクオフでは、追加したAcitonの設定調整(Prominenceなど)が不要になった。

従来のProcessは、Bot内で名前が付けられました。

「PROCESS」の右にある三角アイコンをクリックして、「Create new process」をクリックすると名前が入力できました。

従来はBot内でProcessに名前を付けられた。

このようにBot内でProcessに名前を付けられたのですが、仕様変更後はこれができません。

従来はBot内で名前を付けられた。

新しい仕様で、従来と同じように「PROCESS」の右にある三角アイコンをクリックすると、「Create new process」が表示されます。
クリックすると、新しいProcessが作成できます。

「Create new process」をクリックしなくても、「Add a step」でStepを追加すると自動的にProcessが作成されます。

Bot内でProcessを新しく作ることはできる。

ただし、名前が付けられないので「PROCESS」の部分は「PROCESS」しか表示されません。

その代わり、Bot名の下に「Event: "イベント名" > PROCESS: "Process for xxxx - 1"」のような表示がされています。
この「Process for xxxx - 1」がAppSheetが自動的に付けたProcessの名前です。

Bot内ではProcessの名前が付けられない。

「Processes」タブに移動してみましょう。

「Process for メール送信 - 1」という名前のProcessが追加されています。
この名前はAppSheetが自動で付けた名前なので、変更できます。

Processは、Automationの要素の中では再利用性が低い(他のBotで再利用することが少ない)と思います。
いちいち作成して名前を付ける必要がなくなり、Processの存在を意識しなくてもStepを追加していくだけで設定できるので、この変更にはメリットがあると思いました。

AppSheetが自動的にProcessを追加する。

Actionの変更点については上で解説済ですが、補足事項があります。

従来はActionを追加すると、エディタ左側メニュー「behavior」から「Actions」へ移動して、追加したActionについて設定を調整する必要がありました。
例えば、Viewに表示しないように、Prominenceを「Do not display」にするなどです。

リンクオフの場合、このような別途設定が不要になりました。

以上、Automationの仕様変更について、リンク設定機能について解説しました。

AppSheetとしては、今後もAutomationの設定をより簡素化し、初心者でも分かりやすく設定できるように改修していく方針のようです。
今回の変更により、Automationの設定手順が少し簡略化されました。
特に、要素を再利用することが少ない初級のアプリ作成者にとっては、直感的にAutomationの設定できるようになったと思います。

AutomationのTaskの使い方や活用事例については、以下のブログ記事を参考にしてください。

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