リモートワークの推進とともに、契約書の電子化も徐々に普及しています。
電子契約にはコスト削減、リモートワークの推進、情報セキュリティという導入メリットがあります。
この記事では、社内DXで電子契約を導入する方法を解説します。
AppSheet(アップシート)で電子契約をアプリ化すれば、契約に関わる業務を効率化できます。
電子契約を導入する前に考えておく3つのポイントを踏まえて、無理なく定着するように進めるようにしましょう。
目次
1. 電子契約を導入する前に考えておく3つのポイント
導入していない会社でも「電子契約には興味がある」あるいは「導入を検討したことがある」という会社は少なくありません。
株式会社インフォマートの調査によると、電子契約を導入していない会社(全体の72%)のうち、検討中または興味がある会社の割合は約4割(全体の28.5%)にも上ります。
電子契約にはメリットがありますが、デメリットがある場合やそもそも導入できない場合もあります。
導入を決定する前に、以下の3つのポイントについて検討しておきましょう。
自社の契約が電子契約に対応しているか
法令で書面による交付義務がある契約は電子契約ができません。
例えば、訪問販売等の特定商取引における交付書面、宅地建物売買等媒介契約などです。
まずは、自社で行っている契約が電子契約にできるか確認しましょう。
社内DXによるコスト削減効果が十分か
社内DXによるメリットには、ペーパーレスによるコスト削減や業務効率化があります。
電子契約を導入すれば、これまで紙の契約書にかかっていた経費を削減できます。
ただし、契約件数が少なかったり契約金額が小さかったりすれば、それだけコスト削減効果は小さくなります。
また、印刷、製本、郵送など紙の契約書に係わる作業も不要になりますが、電子契約よりも慣れた紙の作業の方がよいという場合もあるかもしれません。
このようにコスト削減効果が小さかったり、業務に変更を加えたくないなど、あえて電子契約を導入しなくてもよい場合もあります。
社内外の協力を得られるか
契約は相手があることなので、取引先に電子契約に同意してもらう必要があります。
取引先に費用や業務負担が発生することがあれば、しっかりと説明して協力を得なければなりません。
また、取引先に電子契約にする理由やメリットを説明したり、取引先からの問い合わせに答えたりする業務があらたに発生する場合、社内の担当者にも協力してもらう必要があります。
取引先が電子契約に応じない場合は、紙の契約書と併用することが考えられます。
ただし、併用による事務作業の増加に担当者が難色を示すこともあります。そのような場合、一旦は導入を見送ることもあり得ます。
以上から分かるように、社内DXとは単なるツールの導入ではなく、いかに社内外からの協力が得られるかが重要です。
取引先や社内担当者とのコミュニケーションが社内DXの成否を決めると言っても過言ではありません。
2. 社内DXで電子契約を導入するメリット
契約業務に関わるコストを削減できる
社内DXのメリットはペーパーレスです。
紙の契約書にかかるコストは馬鹿になりません。
電子契約にすれば収入印紙代、印刷代、封筒と郵送費を削減できます。
また、印刷製本作業、押印、印紙貼付のような作業が不要になり、作業にかかる人件費も削減できます。
リモートワークを推進できる
社内DXは脱ハンコを推進します。
紙の契約書に必要な押印や発送のためだけに出社する必要がなくなります。
電子契約書にすればクラウドストレージに契約書を保管し、クラウドで作業できるため、リモートワークにも適しています。
情報セキュリティにおけるリスクが低下する
社内DXは情報セキュリティにおけるメリットもあります。
電子契約書にすれば内容変更時に履歴が残るため、改ざんのリスクが低下します。
また、紙に契約書は紛失、盗難、劣化のリスクがあります。
電子契約書にすればクラウドストレージに保管されているため、紛失、盗難、劣化等のリスクが低下します。
社内DXで電子契約を導入するステップ
以上、電子契約導入前に考える3つのポイントを踏まえて社内DXを導入します。
電子契約における社内DXの導入ステップは、
- どの契約に社内DXを導入するのかを決める
- 取引先や契約の種類ごとに業務ルールを策定する
- 社内DXを推進するサポート体制を整える
- 業務フローを設計する
- 社内DXで電子契約をアプリ化する
という手順で進めていきます。以下で、詳しい進め方を解説します。
3. どの契約に社内DXを導入するのかを決める
自社で行っている契約のうち、どの契約に社内DXを導入するのかを決めます。
収入印紙代、印刷代、郵送費が大きいほど、社内DXによる電子契約メリットは大きくなります。
売買契約や業務委託契約のように契約件数が多かったり、契約金額が大きいものは導入のメリットを体感しやすくなります。
4. 業務ルールを策定する
取引先の意向により、電子契約のみ、電子契約と紙の併用、紙の契約書のみなど対応が分かれる場合があります。
契約の種類や文書ごとに、電子契約の活用ルールを策定しておきます。
また、電子契約に係わる社内規程をあらたに策定する必要があります。
従来の社内規程を変更せずに、例えば「電子文書署名規定」のような規程を追加することで対応できます。
5. 社内DXを推進するサポート体制を整える
電子契約の導入により負担が増える場合に備えて、サポート体制を整備しておきます。
社内に向けては、事業担当者や法務総務担当者の業務負担を軽減するためのサポートを行います。
例えば、研修会、電子契約の手順を記したマニュアルの作成、取引先向け依頼文書の作成などがあります。
社内だけでなく社外からの問い合わせにも対応しなければなりません。
ツールやアプリの使い方サポートやトラブルシューティングは、取引先や担当者の不満やイライラをなくし、電子契約を定着させるために重要です。
取引先や社内担当者とのコミュニケーションにより、無理なく社内DXを進めることができます。
6. 業務フローを設計する
電子契約の業務フローとして、例えば、以下のような5段階で契約の進捗状況と文書を管理します。
- 事業担当者起案
- 法務担当者承認
- 事業責任者承認
- 取引先署名
- 契約成立
業務フローはアプリで管理するようにします。
後述するAppSheetアプリではカンバンボードで進捗管理ができるので、契約の進捗状況を見える化できます。
アプリには契約に関する備考も記録しておきます。
例えば、契約は新規か、与信調査は必要か、契約書は自社仕様か取引先仕様か、契約条項を変更する必要があるか、取引先の条項にクレームはあるか等です。
7. 社内DXで電子契約をアプリ化する
Googleドライブ
Googleドライブは、Googleアカウントを持っていれば無料で使えるインターネット上の保存領域、クラウドストレージです。
社内の契約書をGoogleドライブ上に保存して管理しましょう。
Microsoft Office のファイルとも互換性があるので、Wordで作成した契約書ファイルも保存してチームで共有できます。
Googleドライブに契約書を保存することにより、情報セキュリティにおけるリスク、紛失、盗難、劣化を防ぐことができます。
Googleドライブに保存したファイルは、チームで共同編集ができます。
担当者間でメールで契約書ファイルをやりとりする手間が省け、テレワークも可能です。
契約書の内容を変更すると、「誰が、いつ、どこを変更したのか」について詳細な変更履歴が残るため、改ざんを防ぐことができます。
以上のことから、Googleドライブは社内DXに最適なクラウドストレージであると言えます。
Googleドキュメント
Googleアカウントを持っていれば、Googleドキュメントを無料で使えます。
Microsoft Wordに相当するもので、クラウドで使える文書作成、編集、共同作業ツールです。
Word形式の契約書ファイルは、Googleドキュメントに変換することができます。
Googleドキュメントで契約書のテンプレートを作っておけば、後述するAppSheetアプリと連携して、契約相手や契約内容に応じて文章を変えたり、電子サインを差し込んだりすることができます。
AppSheet(アップシート)
AppSheet(アップシート)は、Googleが提供するプログラミング不要のアプリ開発ツールです。
AppSheetなら、自社の電子契約ルールや業務フローに合わせてカスタマイズ開発ができるので社内DXに最適です。
契約書の文書が完成し、契約相手との合意がなされたら、あとは署名するだけです。
AppSheet(アップシート)には、「Signature(署名)」という機能があります。
アプリ上でマウス(PC)や指(スマホ、タブレット)で署名し、画像を保存することができます。
AppSheetで契約書アプリを作成すれば、アプリ上で署名できるので、郵送による手間も時間もコストも削減できます。
また、署名画像を保存した時刻(タイムスタンプ)をアプリが記録するので、契約書の真正性を担保することができます。署名画像は電子サインとして契約書に差し込み、PDFで保存すれば契約書が完成します。
以上、社内DXにより電子契約をアプリ化すれば、起案 → 作成 → 承認 → 署名 → 成立に関わる業務を効率化、自動化することができます。
8. まとめ - 社内DXで契約業務を効率化しコストを削減しよう
以上、(1)業務ルールを策定する、(2)業務フローを作成する、(3)電子契約をアプリ化するという3つのステップで電子契約を進めることができます。他にも、社内DXを導入する範囲の決定や、社内DXを推進するサポート体制を整えることも重要でした。
まずは、電子契約の業務フローに慣れるために、対象範囲を狭くして導入してみましょう。
社内で使用頻度が高い契約から導入してみて効果を検証し、コスト削減効果や業務効率化を実感できるようになれば電子契約が定着するようになります。
アプリスイートでは、「社内DXに興味があるが導入の仕方が分からない」「契約業務を効率化したい」という経営者やIT担当者の方のために、ご相談を承っています。お気軽にお問い合わせください。
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