紙とエクセルによる在庫管理は、会社の規模が大きく品目数が多くなるほどデメリットが大きくなります。
在庫管理は、脱エクセルの効果が大きい業務の一つです。
この記事では、社内DXを導入することにより、在庫管理を効率化する方法を解説します。
AppSheet(アップシート)で在庫管理業務をアプリ化すれば、QRコードやバーコードで入出庫管理を効率化できます。
在庫管理の業務量5割減を目指して、社内DXを進めていきましょう。
目次
1. 紙とエクセルによる在庫管理
紙とエクセルの作業手順
紙とエクセルを併用した在庫管理の作業手順は一般的に以下のようになります。
- 在庫管理表をエクセルで作成する
- 紙の棚札や在庫管理表をエクセルで作成して印刷する
- 入出庫が発生したときに、現場で紙に記入する
- 事務所で紙からエクセルに転記してデータ化する
エクセルであれば、会社のPCに既にインストールされていることが多いため初期費用がかかりません。
担当者にエクセルの使用経験があれば、習熟コスト(学習時間や費用など)も小さくて済みます。
会社の規模が小さく品目数が少ない、担当者ひとりで在庫管理ができる場合にはメリットがあります。
その一方で、紙とエクセルによる在庫管理には以下のようなデメリットがあります。
管理工数がムダに多い
紙とエクセルで同じことをしているので、単純に二度手間です。
紙からエクセルへの転記ミスのリスクもあります。
社員総出で半日がかり、あるいは一日がかりで棚卸作業をすることもあるでしょう。
品目数や店舗数が増えるほど、棚卸作業にかかる負担は激増します。
データが信頼できなくなる
例えば、二人以上で業務を担当している場合など、ひとつのエクセルファイルを次々と更新してしまうと在庫管理表が最新の状態なのか、在庫が正しく計算されているのかが分からなくなります。
結果的に、記録されているデータが信頼できなくなり、棚卸で在庫をいちいち確認するため二度手間三度手間になってしまいます。
多様な業務に対応できない
会社の規模が大きくなり品目数が増えるほど、在庫管理にかかる業務は多様になります。
以下のように複数拠点で在庫が分散している場合は、業務が複雑になります。
- 倉庫以外に、各店舗に在庫がある
- 倉庫以外に、車両に保守部品などを積んでいる
- 本部で一括購入して、各店舗に配送している
ある拠点で在庫が無くなりそうになった時に、別の拠点に在庫状況を確認して取り寄せることがあります。
紙とエクセルではデータ共有ができないため、別拠点の担当者が在庫を確認し折り返し連絡する手間と時間がかかります。
在庫確認と在庫調整にかかるコスト、機会損失のリスクがあります。
2. 脱エクセル - 在庫管理における社内DXの導入メリット
QRコードやバーコードを活用すれば手間もミスも減る
在庫管理業務に社内DXを導入すると、以下のような手順になります。
- QRコードを使用する場合は、QRコードを発行、印刷して棚やコンテナに貼る
- 入庫時にアプリでQRコードやバーコードを読み取り、個数などを入力する
- 出庫時も同じく、アプリでQRコードやバーコードを読み取り、個数などを入力する
QRコードには品目情報が書き込まれています。
アプリで読み取ると自動的に品目名が追加されるため、入力の手間が省けるだけでなく入力ミスもなくなります。
QRコードの場合は、事前に印刷して貼るなどの準備は必要ですが、日常的な管理工程はアプリひとつで完了します。
商品についているバーコードを使用する場合は、印刷の手間が省けます。
品目数が多い場合、QRコードを印刷するのは大変なのでバーコードの方が良いでしょう。
品目数が少なかったりバーコードがない品目の場合はQRコード、それ以外はバーコードを検討します。
社内DXで管理工数を1/2にする
社内DXを導入すれば、入出庫や棚卸の業務がアプリひとつでできるようになります。
二度手間だった紙とエクセルの併用と比較すれば管理工数は単純に約1/2、業務を50%削減できます。
さらに、紙からエクセルへの転記ミスも防ぐことができます。
社員総出で半日、一日かかっていた棚卸作業にかかる時間と手間も大幅に削減できます。
紙とエクセルではできないメリットとして、スマホで現物の写真を撮って画像を添付することができます。
経験が浅く知識がないスタッフでも、写真を頼りに入出庫記録ができるようになります。
多様な業務にも応用できる
アプリなら複数拠点間でデータ共有ができるようになります。
別拠点の在庫確認をしたり、拠点間で在庫が移動したときに記録することができます。
安全在庫の水準を決めておけば、アプリで閾(しきい)値を設定して発注点管理ができます。
在庫が閾値を下回ったときに、担当者にメールやSNSで通知します。
他の業務との連携もできます。
入庫は仕入記録、出庫は出荷記録と連携することにより入力作業のダブりがなくなります。
仕入と出荷の進捗管理と連携すれば、さらに在庫管理業務を効率化できます。
以上、社内DXの導入により業務の効率化や自動化、業務間の連携ができるようになります。
在庫管理における社内DXの導入ステップ
以上、紙とエクセルのデメリット、脱エクセルのメリットを踏まえて社内DXを導入します。
在庫管理における社内DXの導入ステップは、
- 業務ルールを決定する
- 業務フローを設計する
- 社内DXで在庫管理をアプリ化する
- 発注点管理、拠点間移動など社内DXの応用
という手順で進めていきます。以下で、詳しい進め方を解説します。
3. 業務ルールを決定し、業務フローを設計する
社内DXの進め方として、はじめに在庫管理業務のルールを決定し、業務フローを設計します。
業種、会社の規模、組織体制が異なれば、在庫管理の方法や必要とされる業務内容は異なります。
例えば、組織体制の例として以下のようなパターンが考えられます。
- 本部と営業所(例:本部で一括購入した資材を営業所に配送、本部は在庫を持たない)
- 倉庫と店舗(例:小売業など、倉庫と店舗に在庫がある)
- 倉庫と車両(例:保守点検業務など、車両に保守部品を在庫として積んでいる)
- 工場と店舗(例:食品など、工場から店舗に配送する)
以上のよう組織体制が異なれば、業務分担、調整方法、在庫の場所が異なります。
まずは、自社に合わせた業務ルールと業務フローを検討しましょう。
業務ルールを決定する
まずは、業務分担を決定します。
専任の担当者がいない場合、店舗運営者や保守担当者が業務を行います。
誰が何の業務を行うのか、業務担当と業務範囲を決めます。
次に、拠点間の調整方法を決定します。
ある店舗で在庫僅少になった時に、別の店舗から取り寄せることがあります。
このような拠点間での在庫移動がある場合、その調整方法を確認します。
業務フローを設計する
はじめに、在庫の場所を確認してリストアップします。
業種や組織体制により在庫がある場所が異なります。
倉庫、工場、店舗、車両など在庫がある場所をリストアップします。
続いて、業務フローを分析します。
入出庫記録、棚卸、仕入や納品との連携、帳票発行、拠点間の在庫移動と調整など、日常的な在庫管理業務を洗い出します。
社内DXを導入する業務範囲を決定し、業務フローを設計します。
4. 社内DXで在庫管理をアプリ化する
AppSheet(アップシート)
AppSheet(アップシート)は、Googleが提供するプログラミング不要のアプリ開発ツールです。
AppSheetなら、自社の在庫管理ルールや業務フローに合わせてカスタマイズ開発ができるので社内DXに最適です。
社内DXではQRコードやバーコードで在庫管理を行うのが効率的です。
AppSheetアプリには、QRコードとバーコードの読み取り機能があります。
QRコードはラベル用紙などに印刷して、棚やコンテナに貼り付けるだけです。
マスタデータの準備
社内DXに必要なデータを準備します。まずは、マスタデータです。
エクセルで在庫管理していれば、在庫品目のマスタデータは既にあります。
品目名、保管場所(倉庫名、棚番など)、在庫数量など必要な項目をまとめておくとよいです。
エクセルファイルをGoogleドライブにアップロードすれば、AppSheetアプリで読み込むことができます。
品目マスタができたら、アプリで写真を撮影して画像を添付しましょう。
他のマスタデータ(ユーザー、場所、仕入先、納品先など)もエクセルで管理していれば、同じようにAppSheetアプリで読み込んで引き続き使用できます。
入出庫、棚卸
アプリの入出庫記録は簡単です。
QRコードをやバーコード在庫管理アプリで品目を読み取り、個数を入力するだけです。
日付は自動で入力されます。
仕入納品との連携
社内DXのメリットは業務間で連携ができることです。
AppSheetアプリは他のAppSheet業務アプリと連携できます。
仕入業務や出荷業務と連携して進捗管理すれば、さらに業務を効率化できます。
例えば、仕入の場合は「仕入済」にステータスが変更になった時に、自動的に入庫を記録します。
同じように、出荷の場合は「出荷済」にステータスが変更になったときに、自動的に出庫を記録します。
AppSheetで在庫管理アプリ
アプリスイートが開発したサンプルアプリの作り方を解説しています。
品目マスタと入出庫棚卸記録だけのシンプルな在庫管理アプリです。是非挑戦してみてください。
5. 社内DXでできる在庫管理の応用
発注点管理
在庫管理アプリの応用例として、発注点管理ができます。
品目ごとに安全在庫基準を決めておき、アプリで閾(しきい)値を設定します。
在庫数量が閾値を下回ったときに、仕入担当者にメールやSNSで通知します。
拠点間の在庫移動
倉庫から店舗、倉庫から車両など、拠点間で在庫移動が発生する際の記録も行います。
アプリで在庫照会、別拠点にある在庫を検索します。
担当者間の連絡調整には、LINE WORKSやCharworkなどのチャットツールを併用するのがよいでしょう。
アプリからチャットツールに通知を送ることもできます。
在庫が移動した後の処理ルール、記録ルールを決めておく必要があります。
6. まとめ - 社内DXで在庫管理業務5割減を目指そう
以上、(1)在庫管理のルールを決める、(2)AppSheetで在庫管理をアプリ化する、(3)発注点管理などに応用するという手順で在庫管理業務に社内DXを導入することができます。
社内DXの導入ステップとしては、倉庫、店舗、車両などを対象を限定してトライアル(試験的な導入)から始めることをオススメします。
トライアルの結果を検証し、効果が実感できたら全面展開するようにします。
まずは実践することです。ルールやノウハウが定着すれば、業務量5割減も夢ではありません。
アプリスイートでは、「在庫管理の社内DXの進め方が分からない」という経営者やIT担当者の方のために、ご相談を承っています。お気軽にお問い合わせください。
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