AppSheet (アップシート)の連携について解説するシリーズです。
前回(第1回)は、Google Workspaceの8つのサービスについて、連携により「何ができるのか」を紹介しました。
第2回は、問い合わせ管理アプリで、GoogleフォームとAppSheetを連携します。
Googleフォームから送信した問い合わせデータを、AppSheetで作成した問い合わせ管理アプリで表示します。
目次
1.問い合わせ管理アプリで AppSheet と Google Workspace を連携させる
問い合わせ管理アプリをハンズオンで作成することにより、AppSheet と Google Workspace の連携について学びます。
今回から4回シリーズで、Googleフォーム、Googleチャット、Googleカレンダー、GmailとAppSheetの連携について具体的な活用事例を解説します。
問い合わせ管理アプリのワークフローは以下のようになります。
- Googleフォームから問い合わせを送信して、問い合わせ管理アプリで表示する
- 問い合わせを受信した時に、Googleチャットに通知する
- 問い合わせに関連する予定をGoogleカレンダーに追加する
- 予定に関する出張申請をメールで送信して、Gmailで承認する
今回(第2回)は、GoogleフォームとAppSheetの連携について解説します。連携の手順は以下の通りです。
- Googleフォームでお問い合わせフォームを作成する
- GoogleフォームとGoogleスプレッドシートをリンクさせる
- Googleスプレッドシートから、AppSheetで問い合わせ管理アプリを作成する
- Googleフォームから問い合わせを送信して、問い合わせ管理アプリで表示する
2.事前確認
問い合わせ管理アプリを作成するために、以下の条件を満たす必要があります。条件を満たしていない場合は、アプリを作成できないのでご了承ください。
- Google Workspace の有料プランを契約していること(Business Starter以上)
- AppSheet Eventsアドオンのインストールが許可されていること
- GoogleチャットのChat用アプリで「着信Webhook」の追加と使用が許可されていること
2と3が許可されていない場合は、Google Workspaceの管理コンソール設定を変更する必要があります。管理者が、AppSheet Eventsアドオンのインストール、着信Webhookの追加と使用を許可しない場合は、アプリ作成ができません。
AppSheet Eventsアドオンのインストールを許可する
問い合わせ管理アプリで使用する、AppSheet Eventsアドオンをインストール可能か確認してください。
Google Workspaceの「Googleアプリ」アイコン(右上の9点ドット)をクリックします。「Google Workspace Marketplaceの詳細」をクリックします。
Google Workspace Marketplaceが開きます。
「アプリを検索」で「AppSheet Events」を検索します。「AppSheet Events」が表示されるのでクリックします。
「個別インストール」をクリックします。
インストールするGoogleアカウントを選択します。
AppSheet Eventsがスプレッドシートなどへのアクセスをリクエストします。
プライバシーポリシーと利用規約に同意した上で「許可」をクリックします。
AppSheet Eventsがインストールされます。「完了」をクリックします。
AppSheet Eventsアドオンをインストールできない場合
Google Workspaceの管理コンソールから、アプリ > Google Workspace Marketplaceアプリ > 設定を開きます。
アプリへのアクセスの管理で、
- ユーザーに対してすべてのアプリの Marketplace からのインストールと実行を許可する
- ユーザーに対して選択したアプリのみのMarketplaceからのインストールと実行を許可する
のどちらかが許可されている必要があります。
「ユーザーに対して選択したアプリのみのMarketplaceからのインストールと実行を許可する」の場合は、アプリのリストに「AppSheet Events」を追加してください。Google Workspace管理者によってインストールが許可されない場合は、ハンズオンによるアプリ作成ができません。
Googleチャットの着信Webhookの追加と使用を許可する
Googleチャットに新しいスペースを作成して、着信Webhookを追加できるか確認してください。
Googleチャットに新規でスペースを作成します。Gmailの画面などで「Spaces」をクリックします。「新しいスペース」をクリックして、「スペースを作成」をクリックします。
「スペースを作成」が表示されます。スペース名を入力して「作成」ボタンをクリックして新しいスペースを作成します。
新しいスペースが作成されます。スペース名をクリックして、「アプリと統合」をクリックします。
「Webhookを管理」ボタンがグレーアウトしてクリックできない場合は、着信Webhookの追加と使用が許可されていません。
着信Webhookの追加ができない場合
Google Workspaceの管理コンソールから、アプリ > Google チャット> Chat 用アプリを開きます。
「ユーザーに着信Webhookの追加と使用を許可する」のラジオボタンを選択して「保存」します。
Google Workspace管理者によって着信Webhookの追加と使用が許可されない場合は、ハンズオンによるアプリが作成できません。
3.Googleフォームでお問い合わせフォームを作成する
GoogleフォームとAppSheetの連携を始めましょう。
はじめに、Googleフォームでお問い合わせフォームを作成します。Google Workspaceの「Googleアプリ」アイコン(右上の9点ドット)をクリックして、「フォーム」をクリックします。
「空白のフォーム」をクリックして、新しいフォームを作成します。
Googleフォームに「お問い合わせ」と名前をつけて、以下の質問を追加します。
- 会社名(必須):記述式
- 名前(必須):記述式
- 住所(必須):記述式
- メールアドレス(必須):記述式
- 回答の検証で、「テキスト」「メールアドレス」にしておく
- メッセージ(必須):段落
Googleフォームから1件、お問い合わせを追加してみましょう。
メニューバーの目のアイコン(プレビュー)をクリックしてGoogleフォームを開きます。
自分の情報でよいので、質問項目を入力して「送信」ボタンをクリックしてお問い合わせを送信します。
4.フォームの回答をGoogleスプレッドシートにリンクする
Googleフォームから送信した回答をGoogleスプレッドシートにリンクさせます。
Googleフォームの編集画面に戻って、「回答」タブをクリックして開き、「スプレッドシートにリンク」をクリックします。
「新しいスプレッドシートを作成」を選択した状態で「作成」ボタンをクリックします。
「お問い合わせ(回答)」というGoogleスプレッドシートが作成されて表示されます。
Googleフォームの回答(お問い合わせ)は、「フォームの回答 1」というワークシートに保存されます。
5.Googleスプレッドシートから AppSheet アプリを作成する
ただいま作成された「お問い合わせ(回答)」のGoogleスプレッドシートからAppSheetアプリを作成します。
拡張機能をクリックして、「AppSheet」から「アプリを作成」をクリックします。
「We're setting up your new app!」と表示されて、AppSheetがサンプルデータを読み込みます。
アプリが生成されると「Your app is ready!」と表示されます。右上の「×」か、「Customize your app」のボタンをクリックして閉じます。
テーブルの設定をします。
アプリエディタ左側メニュー「Data」をクリックして、Dataナビゲーションパネルで「フォームの回答 1」を選択します。
右上にある「Table Settings」アイコンをクリックして、テーブル設定パネルを開きます。
「Are updates allowed?」で、「Adds」と「Deletes」をOFFにして無効にします。
お問い合わせはGoogleフォームからの入力に限定して(Addsを無効)、アプリで誤って削除できないように設定しました(Deletesを無効)。「Done」ボタンをクリックして設定パネルを閉じます。
アプリエディタ右上の「Save」ボタンをクリックして、一旦、設定変更を保存します。AppSheetは自動保存機能が無いので、設定を変更したら、その都度手動で保存するようにします。
アプリエディタ右側のプレビューを見てみましょう。先ほど送信したお問い合わせが1件、表示されています。
ビュー(View:画面)を変更しましょう。プレビュー画面したにある「View: フォームの回答 1」のリンクをクリックします。
エディタ中央のメインパネルに、「フォームの回答 1」ビューの設定パネルが表示されます。以下のように設定を変更しましょう。
- View type:table
- Position:first
- Sort by:タイムスタンプ、Descending
プレビュー画面の問い合わせをクリックしてみましょう。
詳細ビュー(Detail_View)が表示されて、問い合わせ内容が表示されます。
以上、GoogleフォームとAppSheetを連携して、フォームから送信した問い合わせをアプリで表示することができました。GoogleフォームとGoogleスプレッドシートをリンクさせて、スプレッドシートからAppSheetアプリを作成するだけで連携ができました。
次回(第3回)は、GoogleチャットとAppSheetの連携をやってみます。Automationとアドオンを使用して、問い合わせを受信した時にGoogleチャットに通知を送信してみます。
- 第1回 8つのサービスでできること
- 第2回 Googleフォーム
- 第3回 Googleチャット
- 第4回 Gooleカレンダー
- 第5回 Gmail