AppSheet Automation(オートメーション)は、業務プロセスや紙ベースのワークフローを自動化します。
Automationには、定型化された6つのTask(タスク)が用意されています。
このブログ記事では、Taskの使い方と具体的な活用事例について解説します。
Taskの基本的な設定方法をマスターして、AppSheetアプリに機能を追加していきましょう。
この記事では、請求書アプリのユースケースにAutomationを設定して、Taskを追加していきます。
使用する請求書アプリは、このブログで解説している請求書アプリ(7回シリーズ)です。
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【お知らせ】
2022年10月以降、AppSheetエディタの画面が新しく変更されています。
AppSheetのアップデートが速すぎて(汗)、このブログ記事はまだ新エディタの画面には対応していません。
エディタ画面右上にある「Switch to the legacy editor」というアイコンをクリックすると、新エディタと旧エディタの切り替えができます。
記事のアップデートができるまでは、とりあえず、旧エディタに切り替えて解説を読んでください。
目次
1. AppSheet Automationには6つTaskが用意されている
Automationは、Bot(ボット)という一連のワークフローを定義して、実行します。
Taskは、Bot内にStep(ステップ)として追加して、決められたタスクを実行するものです。
AppSheetには、以下の6つのTaskが用意されています。
Task | 機能 | 活用事例 |
---|---|---|
Send an email | メールを送信する |
|
Send a notification | プッシュ通知を送信する |
|
Send an SMS | SMSメッセージを送信する |
|
Call a webhook | Webhookで外部サービスと通信する |
|
Create a new file | PDFなどのファイルを作成して保存する |
|
Call a script | GAS(Google Apps Script)を実行する |
|
「Send an SMS」については何度かテストしてみましたが、私たちの環境からは送信ができませんでした。
なので、このブログでは「Send an SMS」を除く5つのTaskについて使い方と設定方法を解説していきます。
無料プラン(Prototype)では、テストしたり使用できる機能が限定されています。
Taskに用意されているすべての機能を使うためには、アプリをデプロイ(Deployed)する必要があります。
その際、有料プラン契約が必須となります。
デプロイや有料プラン契約については、「AppSheet の料金 - 無料と有料の違い、ライセンスの数え方」を参照してください。
2. 請求書アプリにAppSheet Automationを追加する
では、請求書アプリにAutomationを設定してみましょう。
ブログでは、「Create a new file」を使用して請求書のPDFを発行するBotをひとつ作成済です。
この記事では、もうひとつ別のBotを追加します。
請求書アプリを作成していない場合は、メルマガ購読者特典のサンプルアプリをダウンロードしてください。
Automationは、AppSheetエディタ左側メニュー「Bots」をクリックして、以下のタブ項目を設定します。
- Bots(ボット):Automationを定義します。
- Event(イベント):「Bot」をトリガーするデータ変更またはスケジュールを設定します。
- Process(プロセス):「Bot」がトリガーされた時に実行する一連のStep(ステップ)です。TaskやAction(アクション)を実行します。
- Task:実行するタスクを設定します。
Botを無効にする
「Bots」タブへ移動します。
請求書アプリには、既に「請求書PDF発行」というBotがひとつ作成済だと思います。
今回は、このBotは使わないので一時的に無効にしておきます。
「請求書PDF発行」をクリックして、設定パネルを開きます。
「Disable」ボタンをクリックします。
ボタンの表示が「Enable」に変わります。
これで「請求書PDF発行」Botが無効になりました。画面右上の「SAVE」をクリックして保存しておきましょう。
Botの表示が「(disabled) 請求書PDF発行」になっているのが分かります。
Botを設定する
「New bot」をクリックして、新しいBotを追加します。
Botの名前をつけます。
「Bot name」で「請求書Automation」という名前をつけました。
Eventを設定する
次に、Event(イベント)を作成します。
「Configure event」をクリックします。
Eventの名前をつけます。
「Event name」に「請求書Automationトリガ」という名前をつけました。
エディタ画面の右側に、Eventの設定パネルが開きます。
Eventの設定項目は、「Event Type」により異なります。
- Data Change:データの追加、更新、削除などデータ変更された時に、Botを実行します
- Schedule:特定の曜日や時間になった時に設定したBotを実行します(デプロイ必要)
ここでは「Data Change」を使用します。
「Data Change」はデプロイが不要なので無料アプリでもテストできます。
「Data Change」の設定項目は以下の通りです。
設定項目 | 値 |
---|---|
Event Type | (Data Changeの場合)Botの実行をトリガするデータ変更を選択します
|
Table | Eventが参照するテーブルを選択します。選択したテーブルのデータ変更(Event Type)を監視して、条件(Condition)を設定している時は、その条件に合致した時にBotを実行します |
Condition | Botを実行する条件を設定します(条件がなければ設定しなくてもよいです) |
Bypass Security Filters? | セキュリティフィルターを無視します(設定不要です) |
ここでは、Event typeを「Data Change」にして「Updates only」を選択します。
Tableは「請求書」にします。
次に、「Event Type」に条件を追加する時は、「Condition」の三角フラスコアイコンをクリックして、Botを実行する条件式を入力します。
Expression Assistantに以下のように入力します。
「請求書」テーブルに「トリガ」列というNumber列があります。
「トリガ」列の値が変更された時、Botを実行するという意味になります。
「トリガ」列の値はActionを使って変更します。
請求書アプリでは、このActionを既に作成済みです。
AppSheetエディタの左側メニュー「Action」(旧エディタでは、Behavior)をクリックしてみましょう。
「請求書発行」というActionがあると思います。
Stepを追加する
続いて、Processを設定します。
Processは、ActionやTaskなどの一連の動作(Step)を、設定した順番で実行します。
例えば、「請求書をPDFで発行して請求先にメールで送信する」という業務プロセスについて、
- ファイルを作成して保存するタスク
- メールを送信するタスク
というステップに分けて、1、2を順番に実行することで実現できます(実際は「Send an email」だけで、ひとつのStepでできます)。
Processは、1つ以上のStepで構成されます。「Add a step」でステップをひとつ追加します。
Step(ステップ)の名前をつけます。
「Step name」に「請求書Automationステップ」と名前をつけました。
Stepが追加されるので、クリックして開きます。
ステップの種類を選択します。ここでは「Run a task」にします。
以上、Botに1つ以上のステップを追加すると、Processが自動的に作成されます。
AppSheetエディタ左側メニュー「Bots」をクリック、「Processes」タブに移動してみましょう。
Processが見当たらない場合は、「Show unlinked」をクリックすると表示されます。
Processが作成されていることが分かります。
以上で、Processの設定(Stepの追加)までできました。
あとは、Stepで実行するTaskを設定するだけです。
次回以降、「Send an SMS」を除く、5つのTaskについて詳しく解説していきます。
次回(第2回)は、「Create a new file」でファイルを作成します。
請求書アプリでは、既に請求書をPDFで発行するBotを作成済なので、次回はExcelで請求書を発行するBotに挑戦してみます。